それはレイ君でした。
外に出てタバコを吸っていたのです。
レイ君はタバコの煙を吐き、その直後に言葉を発しました。
レイ君「SAYAKAさん、演奏よかったよ。俺もあの曲弾きたかったなぁ!!いいよなぁ。」
レイ君「あれ、SAYAKAさん、打ち上げは来ないの?行こうよー、皆待ってるよー!」
私「いや、でも私…」
レイ君「いいから、いいから!」
そんなレイ君の元気な声に押され、私はあの打ち上げ会場に向かうのでした。
会場に着き、あの重々しい扉を開くのです。
「SAYAKAさん来た!お疲れ様ー!」
温かい歓迎の声と共に迎えられた私は、その流れで近くの席に座るのでした。
その目の前には、なんとKちゃん、、そしてその隣にレイ君が座るという形で。。
そんな配置で私はお酒を飲みながら、何気ない会話を繰り返していると、私の中での大きな黒いものが膨れ上がる。
それはレイ君の行動によってでした。。
レイ君はKちゃんとラブラブしながらも、、私への愛の波動が止まらない。
潤んだ瞳
柔らかな投げかける言葉
分かりやすい様子でした。
しかし、そんな表情や言葉とは裏腹にレイ君とKちゃんは
身体を寄せ合い
誰がどう見てもラブラブだとしか思えない距離で過ごしている。
目の前で広がる、2人のラブラブな空間。
しかし、レイ君の行動はそれとは違った。
トイレの為に私は席を外し、会場の部屋の扉を閉め、颯爽とトイレに向かう。
そして、その帰り私はレイ君とすれ違うことになりました。
レイ君「SAYAKAさんー」
レイ君は、あの潤んだ瞳とトロけるような表情をして私にハグをするのです。
Kちゃんがいるのに…
レイ君は周りに誰もいないからなのか、私をしばらく抱きしめるのでした。
心地良さもあったが我に返り、私はその腕は外し、無言のまま会場に戻るのでした。
レイ君の不可思議な行動に戸惑いながらも、打ち上げは終わり、その日を後にします。
それからというものの、レイ君はKちゃんとの目を盗んでは度々会い、
私をまるで恋人のように扱うのです。
私はもうパニック!!
怒り
悲しみ
屈辱
苦しみ
全ての感情から逃れるかのごとく、私はB楽団から立ち去ろうと決意していきます。
何が起きてんのか分からない。
それからというものの、
毎日、毎晩泣き続け、それが次第に酷くなり、その異常さに病気かとまで思ったところでした。
普通の失恋なら1カ月から3カ月もすれば多少は浮上したりして、元気になるはずなのに!!
レイ君の取った言動
オーケストラでのKちゃんとの仲むつましい光景
そんなレイ君を私は直視できないし、素直に応援する事が出来ない。
その悲しみは、いつか怒りに変わり、2人を睨みつける日々。
私の心の中に悪魔が住み着いたのかと思うくらい、どす黒い感情が湧き出るのです。
(呪い殺してやろう。殺してやろう。)
(レイ君さえいなければ私は平和だったのに!)
(私が苦しむことなかったのに!)
(Kちゃんの存在が憎たらしい。Kちゃんを殺す。。あの2人を殺せば。。)
未だかつて持ったことのない殺意を初めて抱き、私は本気で殺人計画を考えていたのでした。
ニュースで見ていた殺人の数々。
その殺人犯となる人の気持ちが少し分かったかのようでした。。
私はその危険な殺意を抑えるかのように
SNSに気持ちを書きなぐるのでした。
それはまるで殺人予告…
そんな私の心と行動は、自分でも正常でないと知りながら、止められない自分を見ていたのです。
その日以降も私は泣き続け、身体全身が重力以上のものを感じ重く、心の苦しさを抱えたままずっと泣き続けるのでした。
それでもレイ君から定期的に入る電話。
この矛盾した行動に混乱はするも嬉しい自分がいて、私とレイ君はより親密な関係になるのです。
しかし、この不思議な糸で結ばれたような2人の間に、亀裂が走る出来事が起こるのです。
2016年の3月
いつも通り、レイ君が仕事後に電話を私にかけます。
そこで、私はあることを口にするのです。
私「レイ君、私レイ君に言わなきゃいけない事がある。私とレイ君が身体の関係になった事、AちゃんとBちゃんに言ってしまった。。」
その瞬間、ハッと私が自分の言葉の意味を考えたのです。
(えっ、私、、何言ってんの…?!)
自然と出た
何者かに言わされたような感じでした。
私のいきなりの告白に、レイ君は感情をむき出しにして、電話越しで叫ぶのです。
レイ君「えっ、はぁ?!お前ふざけんなよ?俺ら2人だけの約束って言ったじゃん!!約束破りやがって!」
レイ君「お前!!意味わかんね!?しかも、よりによってKちゃんと一番仲の良いAちゃんとBちゃんに言うなんて!?」
そんな怒涛のレイ君から言葉を浴びひるむ私…
しかし、レイ君はそれだけでなく、電話越しに声を震わせながら話すこともあったのです。
レイ君「俺、何にも悪くないんだからな。。お前が結婚してるからだろ?!ふざけんな!俺、さやかさんのこと。。。」
鼻水をズルズルしながら話すレイ君。
そして、怒りの声を取り戻したのごとく、私に声を浴びせるのでした。
レイ君「うぅ…大事、、大事だと思っていたのに!!俺、SAYAKAさんのこと可愛いなぁ!愛おしいなぁ!そう思っていたのに!これで俺とKちゃんが別れたら万々歳だろ?!そうならないように最大限の力で守るけどな!!」
レイ君「でもダメかもしんない。。。俺B楽団辞めなきゃいけないかも。B楽団。。。俺の中では結構良いオケだと思っていたのにな。。。。。全ておまえのせいだ!おまえが悪いんだろ!俺、あんなに幸せだったのに!うぬぼれんな!!!!」
そんな、今までに聞いたことのない声量と怒りに満ちたレイ君の声が、私の鼓膜を破るくらいの勢いで押し寄せてきたのです。
そして、全てを吐き出したのか、レイ君は声にならない声で話すのです。。
レイ君「…もう全て終わった。終わりにしよう。。」
そして、最後の力を振り絞ったのか、また声を張り上げて言うのです。
レイ君「俺は、SAYAKAさんとは連絡しない!LINEはブロックするし、facebookは切る!!電話は二度とかけてくんな!」
レイ君「業務連絡は全て俺のGmailによこせ!俺は、さやかさんと一緒にご飯食べに行かない!飲みにも行かない!電話もしない!!」
こうして私たちは積み上げてきたものが一気に崩れ落ちるかのごとく、終わったのでした。
それは、2016年の3月
宇宙元旦の夜から朝までの6時間
朝の光が私の身体に差し掛かったころ、その電話を切ったのです。
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